アラサーOL 水無月の日記

手取り17万。みなづきです。日々思う事など。

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夢を追う人、諦めた人。

      2017/06/20

夢を追う人、諦めた人。

 

学生のときの友人たちと集まる機会があった。

 

Aちゃんに会うのは数年ぶりだった。

 

Aちゃんは勝ち気な女の子だった。
社交的で気が強くて自分がナンバーワンだと思っているような女の子だったのだ。

だから私は彼女に対して苦手意識を感じていた。

 

彼女は学生時代自分がナンバーワンだと思っていて
そんな強いエネルギーのおかげか
本当にナンバーワンになってしまった。

 

私たちの通っていた学科は漫画家になりたい人の集まる学科で
彼女は同級生の誰よりも早くにデビューをして、さらに仕事までもらってきた。

まさに期待のエースだったのだ。

先生にも可愛がられていたし、可愛がられるだけの実績も実力もあったのだ。

 

私はAちゃんの実力を認めていたけど
彼女と自分を比べるといつも私は負けていたから、いつも悔しい思いをしていた。

 

彼女に対して最初の頃はライバル意識や嫉妬心を持っていた。
私だってやれるんだぞ、と負けん気を燃やしていたのだ。

 

だがそれも学年が上がるとなくなった。
Aちゃんはプロの漫画家デビューをした上、仕事まで貰ってきたのだから
これはもうあまりにも実力の差が開きすぎていて
彼女に対してライバルと思う事自体がお門違いなのではないかと思って、自分の事が恥ずかしくなったのだ。

 

ある時教室でAちゃんと一緒になった時に
私はAちゃんに、「仕事が決まっておめでとう」と言った。

 

勝ち気なAちゃんは
「水無月も頑張ってよ。私たちはライバルなんだから」と事も無げに言った。
私は恐縮していた。
「私なんて相手にならないくらい、Aちゃんはすごくなってしまったよ」と返すと
「そんなことない。私はいつも水無月をライバルだと思ってるよ」と言ってくれた。

 

今思うとそれは
大した実績も残せなかった私へのAちゃんの優しさだったのかもしれない。

 

その時私は、Aちゃんへの思いは
敗北感を超えて彼女はすごいという気持ちがあったので
もはや奮起される事はなかった。

 

そして卒業。
私は就職活動をせずに、アルバイトをしながら地元で漫画を描き続ける道を選び
Aちゃんは上京して漫画を描き続ける道を選んだ。

 

私はいつも臆病で、なかなか最後の一歩が踏み出せない悪い癖がある。
この時もそうで、実家という隠れ蓑に守られながら過ごす道を選んだのだ。
Aちゃんは「かならず結果を出して戻ってくる、結果を出すまでは戻らない」と言って、地元を離れた。

 

私たちは、Aちゃんとその他大勢になっていたように思う。
それくらいAちゃんは輝いていたのだ。
誰も出来ない事を彼女だけがしていた。

 

ある時、講師の先生方と私たち仲間内の数名で話をした。
Aちゃんはすごいと、誰もが言っていたが
Aちゃんの担任の先生がぽつりと言った。

「ああいう優秀な子ほど何かあった時に折れやすいから、そこだけが心配だ」

 

私は先生のその言葉を聞いて、そんなものなのかなあと半信半疑に思った。
あの勝ち気なAちゃんにはあまり想像できない言葉だったからだ。

 

Aちゃんは人に弱みを見せない人だった。
「私は天才だって人に思われたい」
そう言ってはばからなかった。

 

私はそんなAちゃんの折れた姿を一度見てみたいと思った。
そんないじわるな思いが沸いたのは
私とAちゃんが当時同じ夢を追っていたからに他ならない。

私はためらいも無く夢に向かって走る彼女が羨ましかったのである。

 

それから短くない月日が経ち
私たちは再会した。
Aちゃんは言った。

「地元に戻ってくる」
私たちは誰もとめなかった。

「東京で何も残せなくて悔しいけど…」

Aちゃんは変わっていた。

 

あの頃のような勝ち気なAちゃんはどこかへ影を潜めて
ただただ静かだった。

 

私は年月を隔てて、やっとAちゃんの折れた姿を目にしたわけだ。
どんな気持ちになったかというと、
私は悲しいと思った。

 

勝ち気なAちゃんを生意気だと嫉妬していたのは私なのに
そんなAちゃんじゃなくなったらものすごく寂しかったのだ。

 

Aちゃんは、自分は東京で何も残せなかったと言ったが
私はそうは思わない。
雑誌に掲載されたのはとても大きな事だし、
それ以外にもたくさんの経験や得たものがあると思う。

 

私は卒業して数年間描き続けていたが
ある時から描かなくなっていた。
自分の力不足と年齢と就職と、その他多くの事を理由に、夢をあきらめたのだった。

漫画をやめた私は、Aちゃんの事をより客観的に見れるようになっていたのだろう。
彼女の活躍を素直に応援できるようになっていた。

 

それに、社会という大きなものに放り込まれてしまえば
かつての同級生は身内のようなもので、
身内から活躍するものが出て来るのは嬉しいのだ。

 

「少し休憩する」
とAちゃんは言った。

 

それがいい。
たくさん休んで、また描きたくなれば描いて欲しいと思う。

 

そしてまた、あの生意気で勝ち気なAちゃんに会いたいなあ。と私は思った。

生意気で勝ち気で人に弱みを見せないあの頃のAちゃんに
私は、嫉妬心と共に強い憧れを感じていたのだと今になって気づいたのだ。

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