アラサーOL 水無月の日記

手取り17万。みなづきです。日々思う事など。

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踊る一寸法師

      2017/11/14

踊る一寸法師

 

江戸川乱歩を読んでいると、
乱歩がどういうスタンスで作品を作っていたのかが見えてくるような気がする。

乱歩の物語にメッセージはない、というのが私の意見だ。
特に、道徳的なメッセージは皆無だ。

ただただ、エンターテイメント、
どんでん返しや書いていて楽しいもの、
刺激的な残虐なもの…を書こうとしているように思う。

でも、多分それが良い。すごく面白いと思う。

作品作りにおいて、伝えたいことや、
奥底のメッセージ性なんてものは、別に必要ないのかもしれないとすら感じる。

メッセージ性などというものは、
読者が勝手に思うことであって、
作者が変にそんなものを込めたら理屈っぽくなって良くないのかもしれない。

昨夜読んだのは、江戸川乱歩の「陰獣」

という短編集。かなり古い本なんだけど、載ってある短編全部面白かった。

こういうところに書くのは、人格を疑われそうではばかられるんだけど、
私が一番面白いと感じてしまったのは、この本に収録されている
「踊る一寸法師」という作品。

あらすじは、とても単純。
(ネタバレありだよ)

ある見せ物小屋に一寸法師(小人症)がいた。
一寸法師はからかわれ、周りからわらいものにされていた。

大成功に終わったある日の公演の打ち上げで、みんなは一寸法師を玩具のように弄びいじめ遊ぶ。
宴もたけなわ。酔いに任せてメンバーは、
見世物小屋一番の美女(この人も一寸法師をいじめていた者の一人)と組んで、
人体切断マジック「美人獄門の大魔術」をするよう一寸法師に強要する。

額に汗をたらしながら、美女の潜む箱に剣を突き刺し続ける一寸法師。
泣き叫ぶ美女。
迫真の演技にメンバーたちは拍手喝采。

そして最後に一寸法師が美女の首を切断して、テーブルの上にドンと置いた。

そのあまりのリアルさに、メンバーは妙な緊迫した空気に変わる。

だが、その時美女の声が聞こえる。
一同は安堵し、二人の真に迫る演技に大喝采を送るが…。

テントから煙がもくもくと立ち上り始める。
外に急いで出た「ぼく」は、テントの上で、
黒い液体の滴る、スイカのような丸いものを持って踊る子供のような人影を見た。

とまぁこのようなお話です。

なんかね…、私は小説を読むと、
頭の中で映像がものすごく鮮やかに出てくるタイプなので、
この短編はかなり怖い&面白い!!!

丸尾末広風の耽美な映像で浮かびました。
場末のきな臭い見世物小屋のテントの中の異形の人々。
その中におけるヒエラルキー。乱痴気騒ぎと好奇の目線。
覗いてはいけない場所を覗いてしまったような背徳感を感じてしまいます。

この語り手の傍観具合も良い。

これは明らかな復讐行為何だけど、
私が昔読んでとても印象に残っている話があります。

つげ義春の作品でぼんやりとしか覚えてないのですが、
なんか、釜で物を燃やす工場のような場所で働く主人公が、
ある時、その同僚の人が誤って釜に入ってしまったのを知りつつも助けなかった、
もしくは突き入れた…そして、そうした理由が自分でも分からない…という話だったように思います。

理由があるとすれば、ちょっとした好奇心とかそういうものだったと思います。
その同僚のことを憎んでいたわけでもなく、嫌いだったわけでもない。
でも、なんとなくそうしてみようかなと思ったから、そうした。
みたいな。

これ怖いよね。
でも私にはリアルな感じもするのです。
純粋な悪とでも言うんでしょうか。

子供が虫を思いつきで、または楽しみの一環として、
またはそのどちらでもなく殺すような何気なさ…。

法律などの自分を縛ってくれるものがなければ、人はどこまでも凶暴になるのではないかと思います。

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そういえば、話は変わるのですが、
六本木のクラブで男性が襲われて死亡した事件あったじゃないですか。

あの映像が公開されて私が思ったのは、
みんな人を殺すという気持ちで行動していなかったのではないかということです。

10人の人間で向かっていって、一人2,3回殴り、相手が死んだとして…
それがわずか2,3分の出来事ならば、殴った人間は自分が殺したんだという実感を持てるのだろうか?

なんだか夢の中のようなフワフワした気持ちと、興奮や、
自分たちによって殺したという思いはあるだろうけど、
そこにリアリティは無いような気もするのです。

集団で何かをするというのは、個人に責任を感じさせることはないような…。

先ほど書いた、乱歩の「踊る一寸法師」もですが、
集団で誰かをいじめている時って、各個人には、いじめている感覚が無いんですよね。
ただの遊びの延長のような気持ちでいるだけです。

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